活動日記
6月15日(月)杉の皮は甘い?
行事や野外の研修があるごとに天気予報はよく気にするタイプの私ですが、今日の研修は取り立てて気にすることなく当日を迎えました。しかし、今日ほど天候に恵まれたことに感謝した日は有りませんでした。
平成16年に、平成25年度までの10年間の事業として、武蔵野市と奥多摩町と東京都農林水産振興事業団との間で、協定が締結された「奥多摩・武蔵野の森事業」は鹿の食害で裸山になった森林の整備と住民の交流が目的の協定のです。事業としては、歩道の改修、歩道刈り払い、枝払い、大刈、シカ柵・単木ネットの見回り管理を月2回程度、加えて植生調査などで、整備の面積は、3.30haです。
事業の発端は、平成16年の集中豪雨により山の斜面が大崩壊し、町営の水道取水口が埋没するなどの深刻な被害が発生。山の斜面の大崩壊の要因は、シカの食害によるものでした。このような中、都市部の武蔵野市からの申し出により、協定を結び、多摩川の水源を守るため、協力して森づくりを行うことになりました。協定の期間は10年間でしたが、平成27年の4月にさらに5年間の協定が引き続き行われました。苗木を植え、シカ柵を設置し、食害から守りながら森を育ててきた結果、今では、めざましいまでに緑が回復してきています。この事業では、森づくりとあわせて、武蔵野市と奥多摩町という多摩川の下流・上流に住む住民同士が交流を図り、都市の人々が森林や林業について理解を深める機会となることも目指していきます。
「奥多摩・武蔵野の森」までの道のりは4人乗りのモノレールで片道約1時間40分、徒歩で約30分の行程でした。最大斜度40度を超える所もあり、しっかりとモノレールにしがみついていないと危険な個所もあり、手荷物を落としたら取りにいけない谷を越える所も随所にありました。モノレールからは鹿の角研ぎの跡、山道には熊の糞が見られました。熊は杉皮の樹皮が甘いので掻き毟るのではと言われています。熊にやられた杉は赤く枯れていました。植生地以外ではいわゆるコアジサイや馬酔木など忌避植物を中心に、それ以外は鹿等が食べたと思われる草木が生い茂っていました。途中、本仁田山から臨む都心方向も霞んだ中に見ることが出来ました。
昭和50年代にニホンジカ保護するために捕獲禁止したことによりその後拡大していった結果、今を迎えていることに、自然を守りながら人々の暮らしをさらに守る難しさを痛感するこの40年余りの流れを振り返った一日でした。。
また、平成16年当時の武蔵野市の英断と水を大切に考えてくださっている武蔵野市民に感謝した一日でもありました。