はじめの一歩11月号(通算第164号)
『興味と出会いと課題』
原田真衣
今年で社会人3年目になる私は、8か月前まで三鷹の小学校で、栄養士として調理を行っていた。そこは戦場のような場所だった。10キロ単位の野菜を調理し、100キロ単位の料理ができる。夏でも冬でも冷房や暖房は効かない。そんな環境でも私は充実していた。なぜなら、食に関われるその仕事が好きだったから。
だが、充実した中でも満たされないものがあった。それは、子どもたちの顔が見れない事。配食し終えると控え室に行き、そこの従業員と作った給食を食べる。会話もはずみ、これまた充実していたのだがやはり子どもの顔が見れない。
保育園へ転職しようと考え始めたのは、去年の夏頃だっただろうか。
"自分の作った給食をどんな顔をして子どもたちは食べているのか"という興味が強くなったのだ。そんな時、古里保育園と出会った。
ここに入社して8か月。子どもたちはとても優しく逞しくなにより素直だ。美味しいと笑顔を見せ、苦手な物と対面すると渋い顔を見せる。そんな時、保育士の様々な声が飛び交う。その魔法のような言葉に、術にでも掛かったかのような子どもたちは1口、2口と口にする。
そうか、これが食育というものか。
私は今、新たなる興味と任務に出会った。
「食育」
これから " それ " を、栄養士を全うするうえでの大きな課題にすることにしよう。