はじめの一歩5月号(通算第134号 )
『子育て3年生』
師岡扶美子
“はじめの一歩”で、息子のことを書くのは3回目だ。
1・2回目を読み返すと、成長はあっという間だなあと感じられるようになった。
初めて書いた時は1才だった息子も、3才7ヶ月を迎える。
すっかりお兄ちゃんっぷりを発揮する我が子Sだが、甘えん坊は相変わらず。
お喋りが大好きで、家では歌ったり、踊ったり、「おなら~♪うんち~♪」を連発している。
なかでも、保育園や子ども番組の歌をよく歌うのだが・・・ところどころ違うのが面白い。
♪ご~にんばやしの すえ(笛)たいこお~(うれしいひなまつり)
♪むねをたたいて ぼうこうえん(ぼうけん)っし~よおー!(忍たま)
お喋りも、
「そくとくりーむ(ソフトクリーム)たべたいな~」「おすくり(お薬)のむー?」
「ぶっくり(びっくり)したあ?!」
まだ幼さがある話し方が、可愛いなと思う。
保育園での出来事も、よく話してくれる。
お当番活動が大好きなようで、家でも「これおとーさん、おかーさん、Sのね!」と、お当番カードを折り紙で作り、柱にペタッと貼っていた。
やる気いっぱいなのは嬉しいのだが、朝の忙しい時間には対応が大変。
みそ汁をよそっていると、「今日のお当番は、お父さんとS!おかーさん、やっちゃだめ!」と。
食前にご注意(マナー)を言うのだが、なぜか毎回「おみそ汁をこぼさないように」ばかり、お気に入りで言う。言ってるそばから、おみそ汁をこぼし、お父さんに「ご注意なんだっけ~?」と、ニヤッと言われたりする。
園での制作も楽しいようで、帰宅すると「こいのぼり つくろ~!」「今日は かたつむりやったよ~♪」など、家でも作りたがる。
折り紙・ハサミ・ペン・セロテープ・・・引っ張りだしては、見よう見まねでやろうとする。できることが日に日に増え、先生方には感謝しかない。「おかーさん、できないっ やって!」と、かんしゃくを起こしたりもする。
私も完成形がわからないものだから、手伝っても「ちがうよ~」と言われながらも、二人で試行錯誤する時間は、大切にしたいと思う。これも、余裕がある時に限る・・・のだが。
そんな息子も、もうすぐ本当のお兄ちゃんになる。私の大きなお腹をなでなでしたり、クリームを一緒にぬってくれる。
初めてSに、赤ちゃんがいることを布団の中で話した日。どんな反応かドキドキしていたら、ニヤ~っとして黙った後、一言「・・・。うれしい。(ニコッ)」と言ってくれた。この時の表情が忘れられない。
最近では、妊婦の母に慣れてきたのか、「赤ちゃんいるから、はしれない?」「赤ちゃんがねむいの?(私が横になってると)」などと、小さいなりに気遣ってくれる。「あ~赤ちゃん、早くお家にこないかなー」なんて言ったりもする。
わかっているようで、わかっていないような感じらしく、「Sのお腹の赤ちゃん、男の子だよ!お母さんは・・・女の子!」と、自分にもいると思っていたりする。私のおしりやおっぱいを触りながら、「ここにも赤ちゃんいるよ~」と膨らんだところにいると思っているらしい。
きっと、生まれてからは“こんなはずじゃなかった!”と、いっぱい赤ちゃんがえりもするだろう。だから今のうち、いっぱい甘えさせて、遊びたいと思う。しかし気持ちとは裏腹に、どんどん身体がついていかなくなってきた。歯みがきをしていても、お腹がつっかえるので、私がイライラしてしまい、動き回るSにあたってしまったりする。お風呂も「お父さんと入るっ!」と、だだをこねられ、夫に電話をして協力してもらったりする。お父さんとのお風呂あそびが大好きなのだ。
赤ちゃんが生まれることは、本当に喜ばしく幸せなこと。だけれど、Sが寂しくなったりしないかな、という不安もある。「Sだって家族の一員なんだから、一緒に協力してもらおう、大丈夫。」と夫。うん、そうだね、と思う。
「今日、保育園で何が楽しかった~?」と聞くと、いつもなら「ストライダーした!」「お当番だった!」などと言う息子。なのに今日のこたえは、「・・・うんとねぇ~。お母さんがお迎えにきてくれたのが、うれしかったなぁ~」と、お風呂の中で甘えてきた。ジ~ンとした。毎日お迎えしてるのに、そんなこと言ってくれるのね。
してあげたいことは沢山、でも現実はそうもいかない。産後の不安はあるけれど、ただそばにいるだけでもいいのかな?と、息子の一言に救われた気がした。
子育ては本当に大変。だけれど、我が子の一言で頑張れたりするから、子どものパワーってすごい。家族・先生・地域の方・・・沢山の人の力を借りながら、子育てができているのだなと、感謝の毎日だ。