はじめの一歩11月号(通算第128号 )
『「おめでとう」と受け入れて』
石田良安
さまざまな理由で、親と暮らせない子どもたちが日本全国に約4万6千人いるそうです。そんな子供たちの施設の一つ、児童養護施設を訪問してみると、小学生くらいのどこにでもいそうな子どもたちが楽しそうに走り回っていました。ただ、どの子からも「わたしを里子として見に来たのかな?」「次は僕かな?」という好奇な目で見られているように感じてしまいました。
乳児院に行ってみると、普通の保育園のような雰囲気で、ホールや庭もあって、1~2歳くらいの子どもたちが楽しく遊具で遊んでいました。でも保育園と違い、生活の場であるため、夕方になっても夜になっても子どもたちはここにいる。先生たちは、1日を3交代で8時間ずつ24時間居なければならないし、子どもの熱が高くなってきても親が迎えに来てくれるわけではない。 親がわりの先生たちは勤務時間が過ぎれば自身の家庭の生活もあり休日もあるため、帰っていく。子どもたちにとっては1日中同じ親(先生)と一緒に居るわけにはいかない。 もちろん子どもたちは、そんなところに疑問を持つことなく生活しているわけですが、親や家族と暮らすという体験はさせてあげたいと感じます。
子どもの発育には施設よりも家庭的環境での養育が望ましいとされています。
養護が必要な子どものうち、里親のもとで養護を受けている子どもは17%。日本はこの分野においてだいぶ遅れているそうです。今年の夏に国は「7年以内に就学前児童の75%以上を里親に委託する目標を設定」としました。
私が里子の話を出すと「その子の親は何をしてるんだ?」とか「かわいそうに」といった声を聞くことがあります。
アメリカでは里子を迎え入れると周りの人からまず「おめでとう!」といわれるそうです。
子どものために日本でも是非そんな雰囲気になって欲しいと思います。