はじめの一歩6月号(通算第147号 )
『お兄ちゃん』
原島咲季子
私は兄と弟の3人兄弟。
兄は筋肉の緊張低下・特徴的顔貌・成長障害などが見られ、全体的にゆっくり発達するダウン症という障がいを持っている。
弟は私の1つ下で、小さい頃、母の両手は障がいを持った兄と末っ子の弟でいっぱいいっぱい。私は女の子だから!お姉ちゃんだから!と自分なりに母に甘えるのを我慢していた(つもり…)。
なんで私ばっかりが我慢してるんだ!なんて思っていたこともあった。でも、好きなスポーツをやったり友だちと遊びに行ったり高校生になったらバイトをしたり車やバイクの免許を取ったり社会人になり車も買った。私は年頃になればできる普通のことをしてきたがよく考えれば、兄にとったら特別なこと。スポーツはルールの理解が難しく思うようにできない。友達と遊ぶのだって親が一緒にいることもあり、自由には遊べない。お仕事のお給料も諭吉さんが1枚程…。妹(私)や弟は自由に遊んだりしていて兄はきっと我慢してると思うがたまにお小遣いって500円をくれる。お給料がこれっぽっちに対して500円のお小遣いって私たちの給料に比べたらいくらになるんだろう?5000円とか1万円とかになるのではないか?と考えながら遊びに行く度にちょっとお母さんと手を握れなかったくらいで私は我慢していると思っていた子どもの頃の私がしょうもなく感じ、兄はずっと我慢していて、長男だからって妹弟にお小遣いを与えてくれて、大人になって兄の器の大きさを感じた。