はじめの一歩6月号(通算第123号 )
『子どもの成長』
荒木絵里香
小さいクラスの担任をさせて頂くと、保護者の方からの連絡帳に
「成長は嬉しいですが、なんだか寂しいです」
「大きくならないで、このまま赤ちゃんのままでいてほしいです」
なんて言葉をよく目にしていた。
保育者の立場からすれば、子どもたちの成長を感じられることはとても嬉しいこと。
でも、親の立場になると“寂しい”とか“ずっと赤ちゃんのままでいてほしい”とか
思うのだなぁ…ということを頭では感じていた。
1年前に私も母になり、この言葉の意味をひしひしと感じる日々を送っている。
1歳になり、夜間の卒乳だけが上手くいかず、いつまで続くのかなぁ~そろそろ自由にしてほしいなぁ~(笑)なんて思っていた。
1歳になるからと少し焦ってしまった時期もあり、「もう今日から授乳しない!」と
私が勝手に断乳を決めて実行してみたが、そんな勝手を娘が受け入れてくれるはずもなく、いつになく大泣き…結局、かわいそうで授乳をしながら、娘が自然と卒乳する日を待とう…と決めた。
その日は突然やってくる。
寝かしつけて、私も眠り、気付いたら朝だった。
「朝だ…え!?夜起きてない…娘はちゃんと息をしているかな!?」そんな心配で目覚めた。
あれ…夜おっぱい吸わなかったなぁ…でも今日はたまたまかな?そんな風に思った。
しかし、この日を境に突然娘は卒乳した。
卒乳を望んでいたはずなのに。なんだかものすごく寂しい…
授乳できるのは母親の特権だったのに。私にはもう用無しなのね…(笑)
そんな風に思った。
あぁ、これかぁ…
お母さんたちの気持ちがやっとわかるようになったんだなぁ…と感じながら
娘の連絡帳に「成長は嬉しいですが、なんだか寂しいです」と素直に書いた。
こうやって私も、少しずつ“母”になっていくのだろう。