はじめの一歩10月号(通算第151号 )
『小さなお母さん』
荒木 絵里香
私はこの夏に2人目を出産し2児の母となった。
お姉ちゃんになった3歳の娘は、弟がかわいくて仕方がない様子を見せている。だっこをしたり、あやしたり、声をかけたり…まるで小さなお母さんだ。
そんな娘が、実は複雑な気持ちでいることはわかっている。弟ができたことで、自分も見てほしいという行動が増えていた。
それでもどうしても、小さな弟の方が優先になってしまうことが多いため、
娘には我慢をさせてしまっていることが多く、そんな娘に私は「ごめんね」という言葉を繰り返し使っていた。
ある休みの日、私は昼間にリビングでウトウト眠ってしてしまった。
ハッと起きて娘を見ると、山積みになっていた洗濯物をたたみ、自分の服は引き出しにきちんとしまってあった。
驚きと嬉しさと、申し訳なさと…涙しながら「ごめんね。ありがとう。」と娘を抱きしめると、
「だってママは大変だからさ。お洋服もしまったし、こんな大きいタオルもたためるんだよ!」と誇らしげに言った。
その時私はハッとした。
そうか。私は娘に我慢をさせたり、気を遣わせて
申し訳ないと言う気持ちでいたが
娘はそれがなんだかお母さんのようで
嬉しくもあるんだと気づかされた。
娘に頼りながら過ごしていいんだ。と少し気持ちが楽になった。
これからは、娘との時間を大事にしながら
この小さなお母さんに
ごめんね。よりも
ありがとう。をたくさん伝えていきたい。