はじめの一歩4月号(通算第121号 )
『一年生になったら』
戸田美帆
桜が散り、
やっぱり、何か淋しい。
息子たちは、卒園した。三人とも、この古里保育園にお世話になった。
今まで、12年間、子どもを乗せて一緒に通勤した。この春末っ子が卒園し、
遂に、ひとり通勤となった。
通園の時に車で吐いてくれて、仕事の前に、チャイルドシートを大掃除した。
渋滞にあって、二時間ぐらいかかったときもあった。
ぐずった時の為に、好きなものを持ち歩いた。
ひとりの時よりはるかに大変になった。
通園の車内では、踏み切りで止まると、電車を楽しんだな。
工事中で、一時停止すると、工事車両を一緒に観察したな。
ひとりだったら…
きっとイライラ。
いまだに「見て!すごいのが、とまってるよ!」と、
独り言を、言いそうだ。
飽きるほど聞いたら、一緒に歌えるようになってしまった、「ウルトラマン」シリーズの歌、よく歌ったなあ。「しりとり」に「なぞなぞ」、もうどれくらいやらされたことか。
賑やかで、うるさくて、あんなに「ひとりにしてよっ!」って、怒りたくなるほどだったのに。
はーあ。
ため息ひとつ。
なんだ…。
淋しい。