はじめの一歩11月号(通算第140号 )
『まず一歩進んでみよう』
石田良安
この夏、家族旅行で広島に行きました。
豪雨災害の大変な広島周辺では、最寄りの都市「呉」に行く電車も鉄橋崩落の為、来年の秋にならないと開通しないとか。まだまだ被害の大きな中国・四国地方でしたが、自分の子どもたちに直接現場を見てボランティアの体験もしてもらおうと、広島に決めました。
とは言っても、実際の現場は危険な場所などがたくさんあるので、子どもをボランティアに受け入れている場所は少なく、実際に子ども連れでは迷惑かもしれない。
ただ、以前にいったボランティアでは、急に飛び込んで行ってみたら、現地では思いもしない仕事がたくさんあった思い出があるので行ってみる事にしました。
事前準備として、作業中の食料は持参すること、現場に水分は1人2L以上は持ってくること、など現地に余計な迷惑をかけない旨の内容が書いてあったので持っていきました。それと、かさばりましたが家族全員の長靴もスーツケースいっぱいに入れて行きました。
作業現場は、『似島(にのしま)』という島で、人的被害が無かったため、報道も入らずボランティアも集まりにくい状況の現場でした。
広島市内から船で向かったのですが、ボランティアの人は船賃が無料でした。その航路を運営している会社がボランティアの方を無料で乗せてくださっているそうです。
現地に着くと、集まったボランティアは30人くらいで、子どもは私の3人の子だけでした。やはり作業現場は小学生は不可、中学生は参加できるがスコップ禁止。
でもボランティアセンターのスタッフの方が「ここにはやることいっぱいあるから!」と、できる仕事をもらって作業開始。小学生は土のう袋を使いやすいように仕分ける仕事。中学生は土のはいった土のう袋を一輪車で運ぶ仕事。
この夏の異常な暑さの中で、日陰のない現場はかなり過酷で、15分で10分休憩。その10分ごとに500㎖のペットボトルを飲んでしまったりするので、「2ℓ以上の持参」の意味が身に染みてわかりました。
その日の最後に、スタッフが「せっかく来てくれたから」と小学生2人に現場を見せてくれました。子どもたちは「すごい臭い」と現場の臭いなど、五感でびっくりしていました。
次の日も行ってみると、所長さんのような方が小学生の長男に「やっぱり現場活動やりたいよな?」と、特別に現場作業を許可してくれました。
うちの子どもは、2人になれば作業も遊びに変わる。その楽しそうな声が周りの人の笑い声をさそい、皆の気持ちを明るくしていました。
小学2年の二女はボランティアセンターでの作業でしたが、今後の予定のポスターに何枚もイラストを描いたりと、これまた現場を和ませる良い仕事をいただきました。
帰りの船の見送りには、現地のスタッフさんたちが最後まで深々と頭をさげていたり、2年生の二女が描いたポスターを高くかかげていたり、見えなくなるまでずっと手を振ってくださっていました。子どもたちの自尊心を高めてくれる対応に感謝でいっぱいです。
出発前には色々と不安もありましたが、やっぱり飛び込んでみないと判らない事がいっぱいでした。
何事もまずは一歩踏み込んでみるとそこから道ができることを実感しました。