はじめの一歩1月号(通算第118号 )
『大工の父』
長田 有加
私の父は大工をしている。祖父が一代目で、父が二代目だ。そんな父の元に私は生まれてきた。
小さい頃から家の下にある作業場に行き、父や祖父に教わりながら木っ端にトンカチでクギを打ってみたり、カンナで削ってみたりした。また、ある時には現場にも付いていき、作業を見たり実際に父たちが建てた家を見たりした。
父のすごいところは、人があっと驚くようなアイデアが出てくるところだ。しかし、その中でも“日本の良さ”は忘れない。そんな父の姿を見て、私も同じような職に就きたいと思う時もあった。
私は今現在、保育士という仕事をしているが、保育をするにあたって同じようなことが大切なのではないかと考える。例えば日本では1月になると新年のご挨拶をする。私のクラスでは年末に子どもたちに教え、実際に練習をしてみた。中には「知ってる」「聞いたことある」という子もいた。こういった言葉も大人が子どもたちへ伝えていかなければいけない“日本の良さ”だと私は思う。また色々なアイデアが出てくることで、保育の幅が広がり、子どもたちへ新しい何かを提供できるかもしれない。
大工の父と保育士の娘。職は違うけれど、父と同じものを私はわたしの職で大切にしていきたい。