はじめの一歩12月号(通算第129号 )
『笑顔に癒されて』
小峰美穂子
先月、2歳児クラスで電車に乗り、奥多摩駅周辺にお散歩遠足に出掛けました。
当日を迎えるにあたり担任同志、何ヶ月も前から計画を立て、危険のないよう話し合いをしました。まずは子どもたちが2人組になり歩くことから練習しました。
「おともだちの手を急に引っ張らない」「前のおともだちを抜かさない」など細かいことを伝えてきました。2人で手をつなぐことが定着したのち、園外に出て短い距離から長い距離を歩くお散歩をくり返しました。はじめから上手には歩けません。前の子を抜かしたり、道の中央に寄っていたりと・・・しかし、辛抱強く伝えることで上手に歩けるようになってきました。毎日の積み重ねが実り、お散歩遠足につなげられたのです。
園庭から電車を見るたび「バイバイ~」と言う子どもたち。日頃は車での通園でなかなか電車に乗る機会がなく、憧れの電車です。
当日は、ドキドキ、ワクワクで、どの子も良い表情でした。その反面、引率の職員はケガのないよう危険のないようにと緊張の連続です。しかし、電車に乗ると、山登りの方々に「ワァ~可愛い~」と言ってもらえました。子どもたちもほめられ嬉しくなり、私の心もホッと暖かくなりました。
また帰りの改札口では電車から降りて来た人に「ようこそ奥多摩へ」と声をかけハイタッチをさせてもらいました。どの方も笑顔でタッチしてくださいました。その中で後から男性の方が降りてきました。私は心の中で、この方は子どもとタッチしてくれないだろうなと思いました。その時1人の子がその人に近寄り「タッチ」と声をかけたのです。この人はハッと気づき姿勢を低くし笑顔でタッチしてくださりました。
私は、子どもの力はすごいな、何もとらわれず素直に接することで人の心を一瞬にして笑顔にさせるのだと思いました。
大人は自分を傷つけたくないため先入観を持ち、守りに入ってしまうことがあります。時には必要な場面もありますが、人に対しての見方をくもらせてしまう事もあるのだと子どもに教わった気がします。
この子たちが大人になった時、心から笑顔になれる瞬間を多く過ごせる人生を送ってもらいたいなと心から願いました。