はじめの一歩5月号(通算第110号 )
『現在(いま)、思うこと』
北田久美
「あぁ、またやっちゃった・・・」
私の朝はこんな思いで始まる。
やるべきことはたくさんあるのに、娘を寝かしつけている間に、いつの間にか自分も寝てしまったのだ。起きた時の絶望感といったら ない。
“絶対に寝ないって決めてたのに!!と、今さら言っても仕方がない。
今、私がすべきことは山積み状態なのだ。
慌てて起きて、テキパキこなせればいいのだろうが、そういう性格ではない。
気持ちばかりが焦っている。
何とか朝食の用意をして夫と娘を起こす。夫に抱っこされて起きてきた娘は最高に機嫌が悪い。あやしながら食べさせ、着替えさせ・・・そう、またこの着替えが厄介なのだ。1歳10か月にして洋服の好みにこだわりだした娘。着ていく服をあぁでもない、こうでもないと選び、ビックリするようなコーディネートが完成したりする。もう、その時点で私は(着てくれれば何でもいい・・・)と思っている。
何とか辿り着いた保育園。先生が笑顔で「おはようございます」と声をかけてくれて、ホッと安心する。
朝からバタバタ忙(せわ)しなかった心に、少しブレーキをかけてくれるような、そんな雰囲気。
きっと世の働く女性は、こんな思いを少なからず経験しているのだ。私も出勤してエプロンを身につければ一人の保育士。こんな思いをしながらやってくる方を温かく受け入れたいと思う。大変だけれど、当たり前のように繰り返される日々はきっと幸せなことなのだと思う。この経験を、あと数年経てば懐かしく愛しく思えるのだろう。
そんな思いを馳せながら、今夜も私はきっと、娘と共に知らぬ間に眠ってしまうのだ。