はじめの一歩6月号(通算第171号)
『意外といま、必要だよね』
戸田 美帆
こんなにもリモート会議、オンライン研修、書面会議など、大人たちは直接会わない方法を模索する中でも、保育園では、子どもたちが直接会ってコミュニケーションを取っている。そんな、子どもたちを時に羨ましくも思う。
5歳児の保育室で、三人程の子がおままごとをしている。もう一人やってきた。仲間に入った様子。隣の4歳児の保育室でも、積み木でタワーを作る子どもたち。同様に仲間が増えて遊びが広がっている。「いーれーてっ。」「いーいーよっ。」と。
勿論、その反対に「おもちゃ取った。」「仲間に入れてくれない。」「叩いた。」「叩いてない。」「抜かさないで。」などという子どもたちからの声も聞こえる。
上手くいくパターンもあれば、上手いかいかないパターンも同じくらいに起きている。
そうやって、相手の気持ちに気づいたり、譲ったり、自分を認めてもらえる喜びを知っていっているのだろうか。
この世の中、直接人と会わずに過ごす方法が、とても発達してきている。それと同時にインターネットでの誹謗中傷などは、時に他人の人生をも変えてしまう事も話題に上がる。保育園では、「お友だちが嫌がることはしない。」と、伝える事がある。まず、お友だちが困る事、相手が嫌がる事とは何なのかを知ることはとても難しい過程があると思う。子どもたち同士のコミュニケーションの経験により、少しずつ積み重ねていくのであろう。相手によっては、嫌がることが自分とは違っている。相手によって物差しが違うから、価値観が違うからという事は大きく影響しているのだろう。
子どもたちは、今、感染予防対策をしながら、直接人と会って自身でコミュニケーションをとるという経験から、自分の言動での相手の反応を直接肌で感じているのだろう。
会わずにメール文やオンライン上のやり取りもできるよう、その大切な準備段階でもあるのかもしれないと感じた。