はじめの一歩4月号(通算第169号)
『夢いっぱいのランドセル』
師岡 扶美子
青、紫、ピンク、緑、キャメル、、、。
色とりどりのデザインが店頭に並ぶランドセル。
4月から小学生になる息子が、どれを選ぶのかと、楽しみだね、と夫婦で話しながら一緒に向かう。
ものの5秒あっただろうか。『これがいい!』と、黒のスポーツ系デザイン。
息子Sはいつも決断が早く、Sらしいねと夫婦で笑った。
一方、2歳の娘Nは、きらびやかな世界に瞳をキラキラさせ、『Nはこれがいー♪しゅてきー!』と、鏡に映った自分にみとれていた。
男女の反応の違いには、日々おもしろいなーと楽しませてくれる。
私が子どもの頃、男の子は黒、女の子は赤が主流の時代。
当初、青系を好むこどもだった私は、絵の具のバックは青を選んだ。
案の定、友だちから『どうして青なの?』
『忘れちゃって、男の子に借りたの?』と勘違いされることも。
こどもながらに、相手は純粋な質問とわかったし、嫌な気はしなかった。
むしろ、揺らがずに堂々と6年間使っていられたのは、『自分で選択したから』ということ。
母からは、『女の子で青は〇〇(私)だけだけど、大丈夫?』と確認された記憶はある。反対どころか、私の気持ちを大切にされたことの印象が残っている。
両親はいつも、アドバイスや確認はするものの、"自分で選ぶこと"を大切にしてくれた。
こどもを持ったいま、我が子の意見を尊重する大切さを改めて感じるものの、
我が子には盲目になってしまうものだと、、、難しさも感じる。
そういえば、『ランドセル、ピンクにするー♪』なんて言ってた時期があったっけ。『好きな色がいいよ^^』の返答に、『うそだよー♪』とケタケタ笑っていたっけ。
私は本気で、本人が決めたならいいと思ったので、息子も拍子抜けしたのかもしれない。
世の中には、みんなが気持ちよく過ごすためにルールもあるし、理不尽なこともあって、どれも必要な経験だなと思う。
だからこそ、自分で選んでいい道は選ばせてあげたいなと思う。
そんな大きな器で受け入れられるかは別として、、、
そんな心持ちでいたいなと思う。
卒園式では、甘えん坊の息子が立派に夢を語り、涙、涙の最高な日となった。
保育園最後の日。布団の中で「今日は大切(な日)だった。保育園(の思い出)をずっとずっと大切にする。」と言った。その言葉が嬉しくて、また泣きそうになった。
先生方、ありがとうございました。
来月からはランドセル。
きっと、妹が『Nもー!やりたいー!』と、兄に憧れて、ランドセルや教材を
一緒にさわるのだろうと、バタバタの未来が想像される。