はじめの一歩7月号(通算第136号 )
『人のチカラ』
荒木絵里香
今年の2月に初めて青梅マラソンに出場した。
青梅に生まれ育ったのに青梅マラソン走ったことないとかかっこ悪いよな。
30代に突入し、みんなで何か挑戦しておきたいよな。
そんな軽いノリで地元の仲間たちと応募し、男3女2の5人で参加することになった。
マラソンなんて、高校生の部活で5キロ程走っていたのが最後だろうか…
もう15年も前の話だし、それ以上の距離を走ったことはない。
女子の部は10キロもある。
が、もう一人の女子は「10キロじゃつまんないでしょ!やるなら30キロ!」と即答だった。
この友人は、保育園からの親友なのだが
運動神経がずば抜けていて、運動で何一つ勝てたことがない。
私も元々身体を動かすことは嫌いではないが…
そんなこんなで、30キロという未知の世界に挑戦することになった。
少しは練習しなければ…と1人で走ってみる。1人では8キロが限界…
親友と一緒に練習をした。12キロ程走れた。
1人では到底届かなかった距離を、2人になると頑張れた。
しかし、それ以上の距離を走ることなく青梅マラソン当日を迎えた。笑
目標は15キロ。折り返し地点には、職場の先生方が応援に出てくれている。なんとしてもそこまでは行きたい…そんな思いがあった。
スタートしてみると、沿道からはたくさんの応援の声が途切れることなく続いている。
太鼓やギター、踊りや高校の吹奏楽部など
リズムや音楽というのは、こんなに力になるのかと驚いた。
お水やスポーツドリンク、チョコレートやバナナ、おまんじゅうを幾度となく口にした。
疲れて足を止めたくなりそうなとき、そんな応援がとてもありがたい。
そして何より、周りには一緒に走るたくさんの出場者の人たち。
その波に乗ってテンポよく走ることができた。
しばらく走っていると、折り返したトップ選手たちが前から走ってきた。
自分も走っているのに、走っている人たちもみな拍手をしたり、頑張れー!と声をかけていた。そんな暖かさが青梅マラソンの魅力なのかもしれない。
なんとか15キロ。応援に出てくださった先生方の顔を見てとても嬉しく、安心し、元気が出た。目標達成したが、まだいける!そう思った。
が、折り返しを過ぎると急激に疲れが出てきた。これが未知の世界か…
しかし、この先には娘や両親の応援がある…なんとしてもそこまでは…
その先には保育園時代の担任の先生が…
その先には友達のお母さんが…
そんなことを考えているうちに25キロまで来ていた。あと5キロ…もう足が動かない…
何度となく足が止まった私は、余裕で写真を撮りながら走っている親友に先に行くように言ったが、ここまで来たら最後まで一緒にと見捨てずにずっと隣にいてくれた。
あと3キロ…2キロ…1キロ…
沿道の声援はどんどん大きくなっている。
あと少し!もう少し!頑張れ!
知らない人たちがたくさん応援してくれる。
もう歩いているのと同じスピードくらいで足を動かし続け、なんとか30キロを走りきることができた。
1人では8キロしか走れなかった
2人では12キロになった
先生方を思い浮かべて15キロ走れた
沿道のたくさんたくさんの応援のおかげで走り続けることができた
親友が隣にいてくれたおかげで30キロ完走できた。
青梅マラソンに出て、人の力のすごさを私は知った。
1人ではできないことも
2人なら
5人なら
10人なら
大勢なら
人の力を借りることで、1人では難しいことも
成し遂げられるということがあるのだと身をもって感じることができた。
1人で解決できないことは、人を頼ってもいいんだな…そんな風にも感じることができた。
私にとってとても貴重な経験となった。
でも、来年は…もういいかな…笑