はじめの一歩9月号(通算第114号 )
『国境なき医師団』
石田良安
先日、国境なき医師団の写真展とその医師の方のお話が聞けるということで行ってみました。
優秀な医師のいる国ほど、危険な国には医師を派遣しない。そこで国境なき医師団は、どの国にも属さないことで、自由に各国へ診療に行ける集団ということでした。
自分の子どもたちには、どんな仕事でも最前線で頑張っている方とは触れさせたいと思ったので一緒に連れて行きました。
衝撃的な写真とその説明が展示してあり、とにかく病院だけは攻撃するなという事を世界に広めようと頑張っていました。写真展の方は、普段テレビで見かける中東の内戦を見た時の印象とそんなに違いはないように思いました。火傷を負った子どもの写真を見た年長の次女が「この子痛そうだねぇ」と言ったのが、静かに見ていた家族の唯一の声でした。
医師の方のお話が始まると、受ける印象が強すぎて、ずっと鳥肌が立ちっぱなしでした。
その方は38歳の医師で、普段は普通の病院に勤めていて、長期の休みをお願いしてボランティアで各国へ行くそうです。けっして話の上手な方ではないのですが、中東の現場から持ち帰ってきたばかりの現在起こり続けているありのままの話をしてくださいました。お話の内容も衝撃的でしたが、数日前まで戦争の現場で激務をしてきた人がここで話しをしているという現実に衝撃を強く受けました。
私は副住職をしているので法事などで年配の方から戦時中の話はたくさん聞いていて、実際の体験からくる話にその都度ほんとうに大変だったんだなと感じてはいましたが、今現在起こっている戦争の現場の人の話は別な物でした。
今の日本のように、戦争もあったが現在は平和に生活できている国に早くなってほしいと心から願いました。
うちの子どもたちにはショックな話や難しい話もあって、大人ばかりが良い体験をしてしまったかなと思っていると、帰りに長男が「僕の貯金箱にある1000円札、全部寄付する。」と言い出しました。子どもたちも何かを得られたのかなと少し安心しました。