はじめの一歩8月号(通算第113号 )
『息子に教えられ』
岡部弘美
高3の三男がこの夏、部活動を引退した。
去年の夏くらいから、大会の度に応援に足を運んでいたので、それがなくなり、なんだか淋しくなってしまった。
しかし私がこの追っかけを楽しいと思えるようになるまでには時間がかかった。
私自身は中学・高校とバレー部だった。子どもたちにも高校時代はチームスポーツをやって欲しくて「お母さんの希望」として勧めたりもした。
だけど選んだのは中学からの継続で陸上部。
最初の頃は応援に行っても自分の子がやるのは ほんの数秒だし、スタンドから本人まで遠いしで正直楽しく見ている感じはなかった。
実際、会場が遠い時には行かなかったし、行けたとしても息子が終わるとすぐに帰って来てしまったことも事実である。
そんな私がなぜ息子の大会を楽しんで追っかけするようになったかと言うと、ある日の息子との何気ない会話からだった。どうしてその様な話になったのかは覚えていないが、はっきり覚えているのが「『自分の努力を自分の責任として結果を出したい』から陸上を選んだ」という言葉だった。
ハッとした。自分の思いや考えにはなかった言葉だったからだ。
それからである。どの子もそれぞれの思いがあって、この部活を選んで頑張っているんだなあ・・・と思ったら息子だけでなく、同じ学校の仲間も違う競技も応援するようになり、必然的に親という上から目線ばかりで話していたような気がするけど、息子の言葉でお母さんの世界が広がった。ありがとうね。