はじめの一歩第191号)
『バンソウコウの力』
小峰 美穂子
先日、私の父の法事がありました。主人と2人、駅まで送ってもらい電車で帰ろうとした時、すでに電車が到着しようとしていました。私たちは間に合うと思い走りました。
私は両手に荷物を持ち、履き慣れない靴だったので、階段を登り切った時、まるでアニメのようにスローモーションで転ぶ自分の姿が浮かびました。(実際はすでに転んでいました)
その後、どうにか立ち上がり電車に乗ることが出来ました。
我ながらすごいなと思いました(笑)。電車の中ではまわりの人がクスクス笑っていました。私も何か違うと思い、マスクを離すと鼻の頭から血が出ていました。大人になって転んで顔を打つことは、なかなか無いなと自分でもおかしくなりました。(大ケガをしなかったから良かったです)
そして次の日、保育園に行くと子どもたちが目を丸くして私の鼻のバンソウコウを指差し「どうしたの?」「なんか変だよ、おかちいねー、とりな」「痛いの?」と声をかけてくれました。私が「転んで血が出ちゃったの、痛かったの」と答えました。古里保育園の子はみんなやさしいので心配そうに聞いてくれました。
そして何日か経ち、鼻の赤みも取れて来た時に、男の子と女の子が可愛いキティちゃんのバンソウコウを「ハイ」と渡してくれました。私はそのやさしさに涙が出るほど嬉しく感動しました。こんなに小さい子どもでも、人の痛みに寄り添えるなんて、本当にステキなことだなと思いました。
お金では決して買えないやさしさをもらい、とっても幸せな気持ちになりました。
1枚のバンソウコウは傷口に、もう1枚のバンソウコウは宝物としてとっておこうと思います。ありがとう