活動日記
2月2日(土)おさかなポスト
外来種の生物が日本全国各地に放置されるようになってから何年もたちます。アリゲータガーパイクなどの外来魚が都会の河川に回遊していることも確認されています。外来種は生態系に影響を与えるだけではなく、河川に新しいウイルスや病原菌を持ち込む可能性もあります。金魚も多摩川にとっては外来種のひとつです。外来種とは、本来ならその環境にいないはずの生物で人為的に持ち込まれたものを指す言葉です。自分の意思で飛来したり、海流に乗って辿り着いたものは外来種とは呼ばないそうです。日本にいる生物でも品種改良されているもの、本来そこに生息するものでないなら外来種であり、環境にダメージを与える可能性がります。
そんな飼育できなくなった魚や亀が、河川に勝手に放置されないように「おさかなポスト」なるシステムが作られたのが、2005年のことでした。おさかなポストを設置したのは川崎在住の山崎充哲さん。きっかけは多摩川の土手を泣きながら歩く小さな男の子と出会いです。男の子の手には金魚の入った器。泣いている理由を尋ねると、男の子は「もう飼えないから捨ててきなさい。持って帰ったらトイレに流すよ」と母親に言われたのだと答えた。山崎さんはその男の子に「稲田公園におじさんが管理しているいけすがあるから、そこに放していいよ」と言葉をかけました。命を大切にしたいという子どもの願いが叶うならと軽い気持ちで引き受けた山崎さん。ところが噂を聞きつけたのか、その後1ヶ月で300匹もの金魚が持ち込まれたそうです。今では、毎日のように「おさかなポスト」への問い合わせが殺到しています。
その山崎さんが奥多摩の氷川小学校へ来てくれました。氷川小学校では毎年「命の日」と名付けた行事を行っていますが、その発表テーマに「おさかなポスト」を取り上げた学年があり、今回の講演が実現しました。道徳授業の講座をひとこま、全体の講演会を1時間ちょっと、とてもすべてを語る時間ではありませんでしたが、熱心にダイジェスト版として子どもたちに、また、参加した親御さんにも説得力のある内容でした。
山崎さんは多摩川の環境の保全や復活に貢献しただけでなく森林、里山の自然にも造詣が深く、講演後は奥多摩の自然を地域の有志と歩いていただきました。奥多摩の食のこと、自然の財産のこと、それらをどうやって活かしていくかなど・・・いろいろなアドバイスをいただくという有意義な1日を提供していただけました。